不妊治療と仕事の両立の現状把握のため、不妊治療により離職を経験した方へ向けてWEBアンケートを実施しました。
現在、日本では不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は5.5組に1組と発表されており、更にそのうちの4人に1人が、不妊治療が原因で退職を選択しています。
そこで、退職を選択された方の実態や現状を詳細に把握し、今後の企業の制度設計に活かすべくデータをまとめました。
調査概要
調査目的:不妊治療による離職の実態・現状把握のため
調査期間:令和3年2月24日~現在
調査方法:WEBアンケート(自由回答を含む全14問)
対象者:全国の不妊治療による離職経験者
回答者:231人
調査結果
≪基礎情報≫
設問1.性別
設問2.お住まいの都道府県
設問3.治療開始時の年齢
≪離職調査≫
設問4.治療開始後、何年目で離職したか
「1年未満」での離職が最も多く、次いで「2年目」「1年目」と、2年目までに離職した方が約79%を占めました。
設問5.離職した時の治療フェーズ
設問6.離職した会社の企業規模(従業員数)
「300人未満」の中小企業が58.2%とやや多めの結果となりました。
設問7.離職した会社の業種
「医療」が25.5%と最も多く、次いで「卸売業・小売業」12.1%、「福祉」8.2%という結果でした。
設問8.離職した理由を、不妊治療の為と伝えたか
「伝えていない」方が45.5%という結果に。企業内で顕在化しにくいという不妊治療特有の課題があります。
設問9.設問8で「伝えていない」を選択した方に、不妊治療の為と伝えなかった理由は?【複数回答】
「治療のことは知られたくなかった」「上司の理解を得られそうになかった」が半数を超える回答となりました。また、「その他」の理由として「派遣社員は仕事を紹介して貰えなくなる」や「興味本位で詮索される・周囲に言いふらされる」等の回答もありました。
設問10.設問8で「伝えていない」を選択した方に、代わりにどのような理由を伝えて離職したか【複数回答】
「家庭の事情」や「健康面・体調不良など」が多い理由でした。「その他」理由としては「子供ができたら退職という職場だった」や「資格取得」といった回答がありました。
設問11.職場で不妊治療の事を伝えていたか
「伝えたくないが仕事調整のため伝えざるを得なかった」「伝えたくないので、通院時等は嘘の理由で通院していた」と回答した方が半数近くおり、本来は不妊治療のことをあまり職場で公にしたくない心情があることが分かります。
設問12.不妊治療と仕事を両立できないと感じた理由【複数回答】
「いつまで治療が続くか分からないからプレッシャーになる」「休みの時に同僚に気をつかう」が50%を超える回答となっており、精神的に追い込まれながら、不妊治療と仕事の両立をしていた方が多いことが感じられる結果となりました。「その他」理由には「業種的に不定期で頻繁な休みはとれない環境」「子供のいる人が優先される」等の回答がありました。
設問13.企業側がどこを改善したら、離職せずに済んだか【複数回答】
「通院しやすい社内制度の導入」「治療のための休職制度」の回答が多く、会社の制度見直しを望む声が多い結果となりました。「その他」理由には「派遣先に制度があっても正社員にしか適用されない為、派遣社員の制度整備も考えてほしい」や「人材不足の解消」「誰が休んでもカバーし合える環境」等の回答がありました。
設問14.自由記述(一部抜粋)
・定時勤務かシフト制かなど、勤務形態ごとに離職の現状を把握し、支援策が企業に周知されてほしい。
・上司や会社自体に理解がなく、日程が読めない人工授精以降は離職する他なかった。
・企業と社員の意識のギャップは激しいと感じている。
・不妊治療をしない方々は当然ながら理解が少ない。世の中が理不尽に治療に苦しんでいる方々への理解を深めてくれたらと思う。
・いつまで特別待遇を続けなければならないのかというプレッシャーと、自分でも中途半端な仕事・治療に心理的に疲れて辞めてしまった。
・ステップアップする度に通院回数も多くなり、その度に半休を申請しなくてはならなく、しかも休みの日程も急に決まるので、業務にも支障をきたし、周りの目も気になり罪悪感でいっぱいになる。
・女性の多い職場は夜勤を急に変わってもらうことも難しく、不妊治療との両立が厳しい。職員数を増やす以外改善策が思い浮かばない。
アンケートにご協力くださった皆様、大変貴重なご意見をいただき誠にありがとうございました。
今回の調査結果を踏まえ、今後の企業における制度整備や改善に向けてのサポートへ、一層尽力して参ります。