活動報告

不妊治療と仕事の両立事例インタビュー 第三弾【株式会社バンダイ 様】

不妊治療と仕事の両立事例インタビュー 第三弾
【株式会社バンダイ 様】

現在、国内では政府による不妊治療と仕事の両立に向けた取り組みが急速に進んでおり、不妊治療と仕事の両立を行っている企業様への注目が高まりつつあります。

今後企業においては、従業員が安心して不妊治療と仕事を両立できる環境を構築していくことが重要となるでしょう。

そこで、既に支援を行っている企業様へ、先進的な取り組みやご経験についてインタビューさせていただき、ご紹介していきます。

お話を伺った方:株式会社バンダイ 様

【株式会社バンダイ 様】不妊治療と仕事の両立支援制度

【こうのとり制度】

妊娠を望む社員は、1 カ月以上最大 365 日の休暇取得が可能、
年間 20 万円を限度に、合計 60 万円上限で治療費補助

【出産・子育て支援金】

第 1 子、または第 2 子が誕生した際に各 30 万円、第 3 子以降は 300 万円を支給

インタビュー内容

不妊治療と仕事の両立企業取材 バンダイ様

最大1年間の休暇が可能な「こうのとり制度」

--- まずは2018年にテスト導入された「こうのとり制度」について伺いたいのですが、どのような経緯で始まったのでしょうか?

弊社は社員の約35%が女性と比較的女性が多い職場ですが、不妊治療については社員それぞれのスタンスで取り組んでいましたので、さまざまな声が人事部に届いておりました。そこで、仕事と家庭を両立できる環境を作ってあげたいという思いから人事部が周囲を説得して、最大1年間の休暇取得が可能な「こうのとり制度」を導入しました。

--- 制度を作るにあたって、社内でアンケートを取ったりしたのでしょうか?また、構想から実施までの期間はどのくらいかかりましたか?

アンケートは実施せず、相談を受けていた社員を中心に個別にヒアリングを行いました。期間については、発案から約6か月、動き出してからは約3か月で実施いたしました。

--- 大企業ですと時間かかる印象がありましたが、意外と早いのですね。

担当者の強い意志があれば、すぐに実行できる社風だと思います。

申請等はグループ会社が一元管理

--- 申請方法を教えてください。また、始まったばかりだとは思いますが、「こうのとり制度」の申請件数はどのくらいですか?

申請については、管理系グループ会社の労務管理担当2名が窓口担当となっており、申請やお問合せを受け付けています。今年4月から現在までの問い合わせ件数としては10件弱ほどと伺っています。プライバシー保護の観点から、申請者の詳細情報を担当者から聞き出すようなことはございませんが、例えば「治療費の補助は過去どのくらい遡れるか」や「休暇を取得する場合はどのタイミングで申請すればいいか」などのお問い合わせをいただいていることは把握しています。

---産業医や社会保険労務士に相談する場合もありますか?

産業医も、社労士の資格を持った人事部担当もおりますし、契約をしている社労士の方もいらっしゃいますのでお繋ぎすることは可能です。

---仕事のことを考えると直属の上司に申請相談する場合もあるのでしょうか?

上長に相談する社員ももちろんおりますが、まずは専任窓口にご相談いただくようにしています。治療のことを周りの方にオープンにする、しないという選択はそれぞれの価値観によって異なりますが、われわれはすべての選択を尊重し、安心して仕事に取り組めるようにフォローすることが大切だと考えています。

〈第3子以降300万円支給〉に込められたメッセージ

--- 制度を設けてから、採用等への影響や社内での反響を感じることはありますか?

制度に関する直接的な影響はそこまでありませんが、もともと女性社員が多いですし、産後復帰している社員もだいぶ増えてきております。新卒採用の際に「長く働ける会社だと認識している」というお声はよくいただきます。学生の皆さんが、〈女性が活躍できる会社〉だという印象を持ってくれているのはすごく感じますね。

また社内報やイントラネット等で新制度について紹介した際には、「あの制度すごくうれしかったです。自分はまだ結婚もしていないし、どうなるかは分からないけれども、こういうプランがあるだけで安心します」などとコメントをくださった方もたくさんいました。

--- それから、出産・子育て支援金として〈第1子、第2子が各30万、第3子以降は300万円支給〉という制度がありますが、あれはどのようなきっかけからできたのですか?

子育てをしながらでも、社員が楽しく仕事をすることを推進していきたいという気持ちがもともとありましたので、〈第1子、第2子が各20万、第3子以降は200万を支給〉という制度は以前からあったんです。

今回増額に至った理由としては、少子化問題が叫ばれ続けるなかで、不妊治療保険適用化のニュースなど、仕事と家庭の両立の実現に向けた動きもありましたので、ここで改めてトップからのメッセージを出すことが重要だと判断して改定しました。また、このような取り組みが少しでも社会に良い連鎖を生みだすことができればと思っています。

仕事と家庭の両立を支援する制度と、それを支える社内風土

--- 休暇を取った社員の業務をフォローするという点ではどのような仕組みになっていますか?

弊社は3月が決算期なのですが、例えば新しい期に入る前に「来年1年お休みしたいです」ということであれば、その前の期から異動調整もできますが、基本的には同じチーム体制のまま、お互いにフォローしあう形式をとっています。

不妊治療の休暇期間について、現在は1人の出産に対して最大1 年とさせていただいております。また、「2人目を授かるまでまたお休みを取りたい」ということであれば、再度1年の休暇を支給できるようにしています。

--- 社内風土的には、みんなで支え合っていこうという雰囲気はありますか?

そうですね。最近は出産してお休みを取る女性社員がとても増えていますが、その度に中途採用しているわけでもございませんし、チームでフォローし合って運営しているにも関わらず、不妊治療の時だけ言いづらいというのも不平等じゃないかと。私も二人出産して戻ってきている立場なので実感していますけれども、お休みしている間はチームに支えてもらって、その代わり自分が戻ってきた時には次にお休みする方を支えられるように頑張る、という雰囲気はできていると思います。

--- すばらしいですね。私は中小企業向けにお話することが多いのですが、中小企業だとなかなかそのようにできない現状があるようです。ちなみに今回、不妊治療に関する制度を、従来の休暇制度とまとめて「ファミリーフレンドリープラン」という名称で運用されていますが、どのような思いが込められているのですか。実際に運用を開始されてみていかがですか。

まず不妊治療支援の制度を従来の休暇制度とまとめたのは、「不妊治療」を理由にした休暇がほかの制度と比べると周囲に言いづらい方もいらっしゃるかもしれないという懸念もあり、ほかの休暇制度と羅列することで一般的な休暇の一つとして捉えてもらいたいという意図があります。

またこのプラン名には、仕事と家庭の両立を諦めないで頑張って欲しいというメッセージが込められております。男性目線や女性目線にこだわらず、子どもに関することや介護、自分の出産休暇や妻の出産休暇など、総合的にバックアップできる内容となっています。

「こうのとり支援金」は、地方自治体からの不妊治療の助成金が出た上で、それでも自己負担が発生した場合に支給するという制度なのですが、自治体によってさまざまな違いがありますので、その辺はこれから調整が必要になってくると思います。

今後も新たに仕事と家庭の両立に必要な制度が出てくることも想定されますので、社員の声に耳を傾け、より働きやすい環境の実現のため、制度構築に取り組んでいきたいと思います。

---そうですよね、まずは実際に行動に移し、改善していく、そのスピード感は大切ですよね。
本日は大変貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
今後の不妊治療支援に向けた参考にさせていただきます。